吃音はつらいものです。
「『よ、よ、よ、よろしくお願いします』のように同じ言葉を繰り返し、周りから変な目で見られる」
「初めの一語がどうしても出ず、必要以上に力んだり、息が乱れたりして、もの凄く疲れる」
「何度も口にしてきた決まりきった言葉やマニュアルの決まり文句を言おうとすると、流暢にしゃべれずグダグダになる」
ぼくが経験してきたことです。
大学の頃に症状が出始め少しは良くなったものの、今もまだ完治はしていません。
その当時どうにかならないかとあれこれ試してみて、吃音改善にいちばん効果があったのが「フルーエント・スピーカー」です。
耳に取り付けて言葉を口にすると、不思議なほどにスラスラとしゃべれるのです。
というわけで今回は、フルーエント・スピーカーについて書いていきます。
フルーエント・スピーカーで流暢にしゃべれるようになる
フルーエント・スピーカーとは吃音改善を目的とした発話リード装置です。
耳にかけてしゃべるだけで、それまで声が出しにくかったり、スラスラしゃべれなかったり、詰まったりしていた症状が改善されるのです。
なぜ、フルーエント・スピーカーを耳にかけるとスラスラしゃべれるのか?
耳にかけるだけでスムーズなしゃべりができるようになると言われても、いまいち信用できないですよね。なんで? と思うでしょう。
どうやら吃音は脳の異常が原因の一つとされています。聴覚野という部位の働きが正常でないことが明らかになったそうです。
でもたしかに声が耳から聞こえるってことは、耳が関係していたとしても不思議には感じませんよね。言語聴覚士なんていう職業もあるわけですし。
耳にかけてしゃべる、ただそれだけです
フルーエント・スピーカーを耳にかけ、先端部を耳の中に入れて言葉を発すると、それまでどもっていたのが嘘のようにスムーズにしゃべれるようになります。
遅延聴覚フィードバック機能を備えており、聴覚フィードバックを操作することで、今の自分の声の状態を自覚し、修正しようとする働きが生じるわけです。遅れて聞こえる自分の声に初めは違和感があるかもしれませんが、すぐに慣れ効果を実感できるでしょう。
スムーズなしゃべりの効果を実感する
アルバイトは接客業だったため、ときおり店内放送をする機会がありました。20~30秒ほどの放送にもかかわらず、毎回どもってしまい恥ずかしい思いをしていたのですが、フルーエント・スピーカーを使用するようになってからスムーズに話せるようになったのです。
一言目がスムーズに出るようになり、呼吸が乱れて息苦しくなるようなこともなくなりました。途中で舌が回らなくなりグダグダになることもなく、スラスラとしゃべれるのです。
鬼門である電話応対も、フルーエント・スピーカーを耳にかけていれば、詰まることなくしゃべれます。それまでは始めの「お電話ありがとうございます」がなかなか言えなくてシンドイ思いをしていたのですが、装着後は変に力を入れたりせずとも自然と言葉が出るようになりました。
フルーエント・スピーカーを外しても一定の効果は得られる
フルーエント・スピーカーを耳から外してもしばらくは効果が持続し、詰まることなくスムーズにしゃべることができます。
耳にかけてしゃべっているときの感覚が残っているからだと思われます。
つまりは、継続して使用すればするほど、装着してしゃべっているときの感覚がより身についてくるので、持続時間が長くなってくると言えます。
実際に試してみると分かるのですが、ちょっと信じられないんですよね。それまでずっとスムーズにしゃべることができなかったのに、フルーエント・スピーカーを耳に慣らすと、流暢に言葉が出てくるのです。
ただやっぱり限界はあるもので、毎日何時間も使い続けたとしても、完治は難しいです。
吃音は精神的なものも大きく関わってくるので、このフルーエント・スピーカーだけですべてが解決するなんてことはないのです。
とはいえ、少しでも症状が改善されれば、気持ちが楽になりメンタルが復調してくるので、状況が好転することは期待できるでしょう。
おわりに
ぼくは吃音にほんと苦しんで、たくさんのことを諦めたし、人生も狂いました。
そんな中、ネットであれこれ治し方を調べていた時に見つけたのが、フルーエント・スピーカーでした。
当時大学生だったぼくには、正直安い買い物ではなかったので、どうしようか悩みました。でも本当に追い詰められていて、もう限界だったのです。
信じて購入して正解でした。今もまだ完治はしていないものの、このおかげでだいぶマシになったのを実感しています。
もちろん完治するのに越したことはないですが、それに囚われているとメンタルがもたないです。完治させるのではなく、改善させる、症状を抑える方向に気持ちを向けたほうが気が楽になりますし、結果的にプラスに働くのではないかと思います。
長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。