アメリカンドッグの誘惑


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 このあいだ近所のコンビニへ行ったとき、店内である光景に出くわした。

それは初めてのことではなく、もう何度か目にしたことがあるものだった。

店内に入り雑誌コーナーを横目に見ながら奥へと進むと、ドリンクコーナーでボトル缶のコーヒーを選んで手に取る。
そのあと他の売り場もちょろっと見てからお会計をしようとレジへと向かうと、30代後半くらいの女性と幼稚園くらいの男の子がそこにいた。
どうやら親子らしい。

そこで母親がレジ横を指さして子どもに声をかけた。

「なにか食べたいものある?」

すると子供は少しの間をおいて、アメリカンドッグを指さした。

カタカナが読めなかったのか、それともアメリカンドッグを知らなかったため、その名前を口にするのが気恥ずかしかったのか、男の子は無言だった。

母親にはその選択が予想外だったようで、「えっ、これがいいの?周り衣だよ?」と子供に聞いた。

その口調は少し責めているようにも聞こえた。

それを感じ取ったのか子供は、少しうつむき加減でまたもや無言でうなずく。

それでも母親はしつこく念を押す。

「ほんとにいいのね?周りの部分、甘くないからね?」

さらに強めなトーンで問い詰めるかのように聞く。

心なしか一段と小さくなったかのような子供はウンと頷く。母親に怯えているようにしか見えなかった。

母親もこれ以上はしつこく聞かなかった。
そこまで言うのなら、といった様子で店員にアメリカンドッグくださいと言っていた。

会計を済ませるとその親子は、自動ドアを抜けてコンビニをあとにした。

冒頭にも書いたが、この光景は初めてのことではない。
過去に3、4回は出くわしている。

なんでこういうことが起きるのだろうか?

たぶん子供にとってアメリカンドッグは、お祭りの屋台で見かけるチョコバナナやいちご飴、トルネードポテトみたいなものなのだと思う。

ちょっと特別な食べ物なのだろう。

唐揚げだって、コロッケだって、焼き鳥だって屋台にはあるが、それらは普段の食卓にも割と出るものだ。とくに珍しいものではないのである。

しかしアメリカンドッグはそう頻繁に食べることはない。というか、ほんと滅多に食べないのではないか。

しかもそのうえ、アメリカンドッグは見た目がちょっと特徴的で、子供の興味を惹くんじゃないかなと思う。

カラフルなチョコバナナや、宝石のようないちご飴が目を引くように。

子供っていうのはそういうのに弱いところがある。

ただ一方で母親はもっと現実的に考えている。

買ったはいいけど、ちゃんと全部一人で食べられるだろうか。残したりしないだろうか。
「あんまり美味しくなかった、、、唐揚げにすればよかった」とか言わないだろうか。

おそらくそういう心配をしているんじゃないかなと思う。

見た目に惹かれてアメリカンドッグを選んだものの、あとでぶつぶつ文句を言って拗ねたら面倒だからこそ、あそこまで念を押して聞くのだろうな。

そんなことを考えながら、実家から送られてきたおやきを食べていた。
週末に長野へ出かけたらしく、冷凍されたいろんな種類のおやきをわざわざ送ってくれたのだ。

そう食べるものではないが、おやきっておいしいなと思う。
それこそコンビニのレジ横に置いてくれないだろうか。

正直見た目はパッとしないので、母親に「なにか食べたいものある?」と聞かれて、子供が無言でおやきを指さすことはないだろうが、おじさんにはきっと需要あると思う。

ダメだろうか。

お読みいただきありがとうございました。