【失敗談】スーパーへ買い物に行った時のこと


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家から5,6分くらいの場所にスーパーがありよくそこで買い物をする。食料品はもちろん購入するし、同じ敷地内にはドラッグストアも併設しているため、薬や生活用品などにも困らない。クリーニング店もあるので、ときおり利用している。一人暮らしの人間にはほんと助かっているのだ。

とうぜん歩いていける距離であるため基本的には徒歩で行くのだが、たまに自転車を利用することもある。もちろん近いのは間違いないのだが、慣れてしまうとこの距離ですら歩くのが億劫に感じることがあるのだった。

 

          

 その日は疲れてたのか、なんとなく面倒に感じたのか覚えてないが、歩きではなく自転車でスーパーへ買い物に行った。ものの2分くらいで到着すると、駐輪場へ自転車を止めて店内へと入る。入口で赤いカゴを手にすると、入ってすぐの野菜売り場を通り過ぎて奥へと進み、冷蔵ケースに入った納豆をとって放り込んだ。
そのあと切らしていたマヨネーズをカゴに入れるとドリンク売り場へと向かった。

冷蔵ケースではなく、常温のまま棚に置いてある2リットルのペットボトルのお水を4本手に取ると、カゴの中に倒して置いた。持ち上げるとけっこうな重さがあった。「あぁ、しんどい」と思いながらレジへと向かった。
買う物はこれで終わりだった。たいてい買う物をあらかじめ決めておくので、スーパーで長居することはそうそうないのだった。
パパっとお会計を済ませると、持参してきた買い物袋に買った品を詰めていく。袋を2枚用意してきたので、ペットボトルのお水は2本ずつ分けて入れた。

両手に荷物を提げて店を出ると、とぼとぼと歩いて家へ向かった。お水4本はさすがに重たく、指に食い込んだ買い物袋を何度か持ち直した。
家とスーパーのちょうど真ん中あたりには、この経路ゆいいつの交差点があった。歩行者信号が赤なので立ち止まる。しばらくすると青に変わったので歩き始める。交差点を渡り数メートル進んだ。

そしてはたと気づく。

「あっ、違う!自転車で来たんだった」

一瞬その場で立ち止まった。どうしようか。もう全道程の半分は過ぎ、そのときの僕は家の方がわずかに近かった。このまま家に帰ってからもう一度引き返そうか、とも考えたのだった。しかしそう考えたのもほんの数秒で、すぐに踵を返した。

あぁもう! と思いながら来た道を引き返す。不機嫌であることを自覚していた。

さっき渡ったばかりの交差点をすぐさまもう一度渡り、イライラしながらスーパーへと歩く。学習能力のない自分にあきれていた。

そう、これが初めてではなかった。かれこれ5回くらいは同じ失敗を繰り返していた。自転車で来たのをすっかり忘れて徒歩で帰ろうとしてしまうのだった。さすがに家に着くまで気づかないことはなかったが、そんなのはぜんぜん慰めにならない。

スーパーに着くと駐輪場から自転車を引っぱり出し、無駄に疲れた体を叱咤してペダルをこいだ。カゴに荷物をぜんぶ載せたためバランスが悪く自転車がぐらついていた。

 

一週間後、また同じスーパーへと買い物に行った。今度は徒歩で。
交差点を過ぎたあたりで、買い物を済ませたと思われる50代くらいのおじさんが、荷物を提げてこちらに歩いてきた。
あと3メートルくらいですれ違うというところで、おじさんが一瞬立ち止まり、そして引き返した。

「あっ、これは」

少し顔をにやつかせ、親近感を覚えながら僕は、おじさんのすぐ後ろをついてスーパーへと向かった。敷地内に入り駐輪場のほうへと進む。おじさんの自転車はいったいどれだろうか。

しかしおじさんはそのまま駐輪場を通り過ぎた。そしてその先にあるクリーニング店に入っていった。

おじさんは自転車で来たのを忘れて徒歩で帰ろうとしたのではなかった。
ただクリーニング店に寄るのを忘れただけだったのだ。

勝手に裏切られた気分になった僕は、いつも以上にずばやく買い物を済ませると、そそくさと家路についた。